2014年4月30日水曜日


ヤフオクで落札したスウェーデンのAORイングマール・ヨハンソンが届く。
  • イングマール・ヨハンソン/スウェディッシュ・AOR・マスターピース・フロム・70’s


お昼15時過ぎより、ともぱんさんのお弁当を食べる会で「喫茶 てげてげ」へ。
ともぱんさんのお弁当。今回のテーマは“丸”だそうで、円形で形よく目にも楽しく、野菜中心で身体にとても優しいお味。大変美味しゅうございました。



シネマボックス太陽で『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』を観る。



おもしろかったのだが、どうしても1作目と比較してしまうのは、やはり続編の宿命だろう。そして、残念ながら1作目を超えているとは思えなかったのが正直な感想でもある。

アクション映画の続編ということだけあって、当然スケールアップしているのだが、『キック・アス』の1作目にあった、ヒーローに憧れる学生がとんでもないことに巻き込まれ、それも本物のヒーローのような無茶苦茶強い少女が容赦なく残虐な殺戮マシーンのように悪党を倒していくというギャップ、等身大と意外性、そして、クロエ・モレッツの存在感が“魔法”のような魅力であったが、本作ではそんな等身大の市井の人々がヒーローとしてジャスティス・フォーエバーを結成するのは面白かった。

特に行方不明の息子を探すためにヒーローになった中年の夫婦(Tシャツに息子の顔がプリントされている)や、ゲイで虐められていたことを克服するためにヒーローになった青年、なにも隠す必要はないからと素顔をさらけ出す、って、もはやヒーローの本質とは違った小ネタに近いところは面白かったのだが、スケールアップさせようとしているあまり、普通のアクション映画になってしまったように感じられた。『キック・アス』らしさというのがうまく説明できないのがもどかしいのだが、“魔法”がかっていたのが解けてしまったというか。

まだ15歳とはいえ、日本人の女性でいうとすっかり大人なサイズに成長した象徴的なクロエ・モレッツが大人びているのも関係しているのかも。前振りのように出ていたアイテムのオチもなんだか拍子抜けな感じだし。

と、ついつい辛口になってしまうのは、それだけ期待感が大きかった裏返しだろう。とはいえ、クロエちゃんの青春映画としても描かれているし、少し前に公開された『キャリー』('13)に通ずる部分もありそうだし('13版は未見)、そういう面でも面白い部分は多々あった。ジム・キャリーの映画ってほとんど観たことなかったので、彼がジム・キャリーだとは知らなかった。完結編とされる次回作も期待は高まる。

2014年4月29日火曜日

佐賀というより、そのラインナップで九州を代表する映画館CiEMAで、曽我部恵一 ソロライブ「愛のような」と、佐賀シネマクラシックス2014で曽我部さんセレクトの『復讐するは我にあり』を観てきた。

ライブ前に腹ごしらえで、Sさんに教えてもらっていたいくつかの候補からピックアップするも休みで空振り。別のお店をぼちぼちと探す。

それにしても、祭日にもかかわらず、佐賀中心街はあまりにもひっそりとしている。交通の便の発達で福岡まで近いゆえのベッドタウン状態なのだろうか。あるいはモータリゼーションによる郊外化でショッピングモールには人が多いのだろうか。はたまたその両方だろうか。中心街の空洞化がこれほど顕著にあらわれている姿をまざまざと見せられると、いろいろと考えさせられる。などと思索に耽っていたら、目の前に飛び込んできた「中央マーケット」の文字。


この中に、教えてもらったおすすめの店があるという。おそるおそる足を踏み入れて目に入ってきた「TERRY'S」の文字。今度は開いているのを確認して入店。


カウンター6席だけというかなりコンパクトな空間は新宿ゴールデン街などを思わせる。さほど高くない天井に張り巡らされたポスターやチラシ、積み上げられた本は村上春樹という文字が目に付く。壁にかけられた絵は先日亡くなった安西水丸の作品のように見える。落ち着いた隠れ家的なシブい雰囲気は、とても建物の外観である中央マーケットの中とはとても思えない。

メニューはなく、本日の定食のみ。チーズがはいった豚しそチーズのフライにご飯と味噌汁、大根の煮付け。これが味もよく、フライはカリッとしていてかなり旨い。
食後のコーヒーも含めて、600円というリーズナブルさにまた驚く。

村上春樹の本が積まれているせいもあって、村上春樹の初期三部作に出てくる「ジェイズ・バー」って、こんなお店なのかなとか、料理も美味しかったと言われている村上春樹がやっているジャズ喫茶「ピーター・キャット」を連想させた。きっと夜はバーなのだろう。いつか夜にも訪れてみたいお店だ。


些か時間がなくなったので、慌ててCiEMAに飛び込む。
すでに開場の時間になっていて、後方にある丸椅子に座る。新宿ロフトプラスワンのイベントには行ったことあるが、ライブははじめてだ。高校生の時にサニーデイ・サービスを聴き続けていた僕にとって、曽我部恵一の声は“青春”そのもの。ソロの1作目はけっこう聴いたが、それ以降は内省的に感じることもあったり、一方でロックに突き進んだ曽我部恵一BANDを結成したりと、その時々によって食指がのびなかったりしていたものだが、こうしてソロライブとしてギター一本で生で聴いているとむき出しの曽我部恵一を感じられて、とても沁みた。
近年の新作を中心に半分ぐらいは知らない曲もあったが、サニーデイ時代のナンバーはやはり盛り上がる。特に好きなアルバム『MUGEN』からのナンバー「江ノ島」をやった時は「おぉっ!」と声を出しそうになった。

二度のアンコールの後、終演後にサイン会まで開くというサービスぶり!しかも写真まで一緒に撮ってもらった。まさに感激で、高校時代の自分が観ても歓喜するに違いない。サニーデイとソロの曽我部恵一との違いって何だろうと考えていたが、購入した『曽我部恵一 BEST 2001-2013』の自身による解説に、「バンドをやめてひとりになったとき、音楽でドキュメンタリーをやろうと思った。」という一行に、なるほどと腑に落ちた。一時期離れていた時期もあったが、これからも曽我部恵一を追い続けてみたいと思う。


曽我部さんセレクトだし、しかもフィルム上映ということもあって、今村昌平『復讐するは我にあり』('79)を観る。最初に九州を代表する映画館と言っておきながら、CiEMAで映画を観るのは実ははじめて。
タイトルはとても有名だが、この作品自体、観るのもはじめてだった。とても緊張感漲った作品で、狂気と血の繋がりの濃い父と子の対立、許されない男と女の愛がまるでむき出しになったような、ヒリヒリとするとても強烈な映画だった。原作は実際に起きた西口彰事件を題材にした佐木隆三によるノンフィクション・ノベル。

不勉強ながら最近は聞かなくなった気がする“ノンフィクション・ノベル”という呼称。実際の事件を元に関係者などに取材を重ね、それを小説という形に落としこむ。トルーマン・カポーティの『冷血』が最初とされていて、本作もその影響下にあるという。

緒形拳の鬼気迫る演技、対する存在感のある父の三國連太郎、倍賞美津子、小川真由美と脂の乗りきった俳優陣の熱量がこちらにも伝わってきて一切気が抜けない。

この時期はドキュメンタリー作品を撮っていたという今村昌平のドキュメンタリーテイストな画面が臨場感を否が応でも感じさせる。そして、演出撮影助手には、あの『ゆきゆきて、神軍』の原一男も参加している。

犯行や行った行為には決して共感はしないが、犯人がどこか魅力的に感じるのは犯罪映画を観た時に抱く感想なのかもしれないが、それは我々の誰しも大なり小なりある抑圧を主人公は開けっぴろげに開放して好き勝手にやっているところなのだろうか。

また、その犯行が敬虔なクリスチャンの家庭に生まれ育ち、信仰に背くような生き方を遂げる、息子と父の濃く深い血の繋がりも見どころだ。タイトルの『復讐するは我にあり』は新約聖書に出てくる一文でもあるという。

映画の大筋とは逸れるが、福岡や大分の鉄輪温泉や長崎の五島が出てくるわ、濃い訛りの九州弁が飛び交うわで、昔の日本映画で当時の風景や風俗を観るのが好きなので、そういうところもとても響く“九州映画”だった。

2014年4月28日月曜日



「たつかれさまでした。」と、人の誤植(でも、なんでこんな誤植になるんだろう?)をからかうつもりはないけど、甘すぎなくて「はな○ご」よりも美味しいSさんの手作りフィナンシェ。ちなみに男性である。

2014年4月27日日曜日

てげのいちVol.4盛況のうちに無事終了。




今回も気持ちよく、そして楽しくイベントが終了したが、やはり気になった点としては、ゴールデンウィーク中ということもあって、よそでのイベント、あるいはお出かけしているためか、前回よりもお客さんが少なかった印象。動員という問題や日にちの設定など、一イベント参加者としても学ぶことが多かった。
また参加出来るように頑張らなきゃと気持ちを新たに邁進しなければ。

打ち上げでは眠さと疲れもあってか、いつもよりも回るのがとても早い早い。本人的には楽しく壊れていたけど、心配されてしまい、関係者各位には大変ご迷惑をおかけしました。

2014年4月26日土曜日

ウェス・アンダーソンがソフトバンクのCMを作っていたとか知らなかった。当時はブラピが出てるなというぐらいの感覚だったものなぁ。
しかも、ジャック・タチのオマージュというから気が効いてるというもの。

準備完了してないけど、準備完了。


明日が楽しみであります。



2014年4月25日金曜日

日曜のてげのいちに備えて掃除。と言いながらも、その合間に抜け出して、ツタヤで『別冊宝島 プロレス 点と線』を立ち読み。一時期、社長代行のような役割を任されていた宮崎満教が語るWJプロレスの顛末がたまらない。特に格闘技団体から億ともされるファイトマネーを積まれても、オファーを拒み続ける長州力に問いただした時に返ってきた言葉が最高だった。「これだから素人は困る。相手が本気で来たらどうするんだ?」思わずツタヤ店内で笑ってしまった。
それにしてもこの宮崎満教なる人物、菅野美穂のヘアヌードを仕掛けた人物でもあり、以前『映画秘宝』のムック本で読んだ『8マン』の実写映画の試写会を、なんと東京ドームでやったという人物であるということを知る。バブル時代とはいえ、もちろん映画は大コケ。そんな人物が一時でもWJプロレスの社長におさまっていたというのが“ズンドコ”と評されるWJのWJたる所以なのか。因果としか言い様がない。

ちなみにこの実写版『8マン・すべての寂しい夜のために』の音楽は、なんとジョー山中によるキャロル・キングのカヴァー集!ジョーの哀愁を帯びた声で聴かせてくれます。ますます気になる作品だなぁ…。

2014年4月24日木曜日

ツイッターのTLで見かけて、ものすごい衝撃だった『探偵ナイトスクープ』の「探偵とデートがしたい男」の回。可笑しさと気持ち悪さが同居しつつ、この胸に迫ってくるやりきれない感情、よく分かりますぞ。



個人的にはこの回が印象に残っている。毎週欠かさずチェックするという方ではないので、たまたま観ていた時にこういう“神回”に出くわした時はけっこう記憶に残るものですな。




2014年4月23日水曜日

例によって、後日のそれも日付かわって土曜(金曜深夜)に書いているので、この日の記憶が曖昧。
「嬉野観光秘宝館のお葬式」でもらった、マエケンのサインでも貼っておくことにする。
「何か秘宝館的な言葉を入れてください!」と無茶ぶりをお願いしたところ、ひとこと“クンニ大王”と。

2014年4月22日火曜日

島原で骨董をやっている母の知り合いの方が、明日から島瀬公園で骨董市をやるというので、その前祝いにお邪魔した。遅れること1時間、やまがたパラダイスに着いた頃には、すでに出来上がっているけっこうなお年の方々に囲まれ、いきなり面食らいつつ、ビールを喰らう。
二次会に行く面々とお別れして、別の店で飲み直すながれに。こちらはお腹が空いているので飯も食えるところを、ということで、建てなおして綺麗になった「ささいずみ」に入るが、平日にもかかわらず満員。このご時世に景気のいいことである。
お隣の「櫂艪(かいろ)」へ。珍味のカメノテや旬のタケノコをつまみながら、〆は屋号がはいった巻物、櫂艪巻。これがなかなかボリューム満点で美味しかった。



店主の方も骨董の方も、奇遇にも崎戸の生まれ。炭鉱時代の話がまるで昔のやくざ映画を観ているような話で面白かった。まだ“任侠”という観念が生きていた時代だったのかも。

2014年4月21日月曜日

嬉野観光秘宝館のお葬式でもぬけの殻状態になっている俺は、“あまロス”でも“タモロス”でもなく、“秘宝ロス”なのだろうか。

この穴を埋めるには、“俺たちの月9”である、BS-TBS『吉田類の酒場放浪記』であろう。
『週刊文春』には下戸疑惑などとすっぱ抜かれたせいか、いや関係ないだろうが、先週お休みだったので、“類ロス”な諸氏も多かったかもしれない。
今回おとずれた根津の「駅馬車」は、『日曜洋画劇場』のサヨナラおじさんとしてお茶の間で親しまれた淀川長治さんが名付け親だそうな。
いつも類さんが行くような、居酒屋という佇まいとは異なり、シブい外観や内観からは、いかにもバーという雰囲気だが、しっかりとフードメニューが充実していて、和洋折衷でとても美味しそう。

2014年4月20日日曜日

この日で完全に見おさめ、嬉野観光秘宝館のお葬式に行ってきた。


建物を前に駐車場誘導する係の人がいて、思わずびっくり。たしかにチケットは完売しているのは知っていたけど、あのいつもガラガラだった嬉野観光秘宝館に人がいるということが俄に信じられないのだ。

ご覧のとおりの長蛇の列。


都築さんや、福岡のトークイベントでお会いした方々にもご挨拶したりで、先日からそのままお祭りが続いてるという感じでワクワクが止まらない。
開館以来、最もお客さんが来ていると思われるのが、ある意味で秘宝館らしいのかも。

いつもの順路とは違い、まずは売店の方へと通される。売店にひしめき合う人の群れ。ここは夢か夢か現か幻か。否、秘宝館である。


嬉野観光秘宝館の秘宝のひとつである“性技の使者”スーハーマンのTシャツはすでに完売!バッジは無事にゲット。


空腹を満たすフードがまたヒドい(笑)。ここではおっぱいもっちもっちを購入。


アダルトビデオの上映コーナーだったプロジェクター部分を使った都築響一さんのトークショー。


1983年に誕生した嬉野観光秘宝館は、『おしん』、ディズニーランド開業、ファミコンあたりとタメ。そう考えるとバブル前夜という感じだ。いまだとお金はあっても、こういう発想には至らないだろうな…。最盛期には30館近くあった秘宝館も熱海と鬼怒川の二館だけになった。まだどちらも行ってないが、特に鬼怒川には早めに行かないといけないと思った。
海外にもセックスミュージアムはあるけれど、学術的なインテリな視点が介在するが、日本の秘宝館はもっと純粋に「エロっていいよね」という、実直なものだ。

ここで映像を流しながらのトーク。70年代初頭に出来た秘宝館のはしりと言われる、伊勢にあった元祖国際秘宝館。オーナーは真珠の販売で儲けてはじめられたそうな。
秘宝館は商標登録をしてなかったから(そもそも真似されるとか観念がなかったのかも)、全国に増殖しやすかった要因でもあったという。
ピークには千人単位で来ていたという。それだけ来ていたという事実に驚く。やはりこの時代の日本のおおらかさというか猥雑さというか、突き抜けた感じはいまは逆立ちしても出せない。残念ながら。それにしても、当時の映画でロケなどに使われたりしていないのかな。
秘宝の数々を堪能した後に、最後のアトラクションで本物の馬の交尾ショーっていうのが、あまりにもすごい。
団体旅行文化の産物とも言えるそうで、おじさんが喜ぶと思いきや、おばさんの方が意外と多かったという話もとても興味深かった。

もうすでに一部動かなくなっている嬉野観光秘宝館の秘宝の数々を紹介。2005年にはまだすべて稼働していたのか。今日ライブをする倉地久美夫さんのお父さんで、画家である樺山久夫さんのエアブラシで作られたエロ絵の数々。

つづいて、先日も紹介された『独居老人スタイル』の話から、本宮映画劇場の話で。成人映画のポスターの数々。先日の福岡では見なかった『ねこと人間と性』のデザインが良すぎる!これポスター化しないかなぁ。



秘宝館に絡めて、ラブホテルの話。回転ベッドが多くつくっているのは実はフラ○スベッドだという、サイトでは一切触れられてないようだが。自分たちのあられもない姿を万華鏡のように見せるという発想が素晴らしい。大阪のラブホテル文化がアツいとか興味が尽きない。

もっとも凄い投稿エロ雑誌の『ニャン2倶楽部Z』の話。パートナーをいろんなシチュエーションで撮っていたりするのだが、ツメの甘さというかほつれ感がたまらない。

ラブ・ドールの話も強烈で、パートナー(ラブ・ドール)をスキー場に連れてって、スキーウェアを着せて写真を撮る情熱とか、秘宝館を通し、まだまだこの日本のエロ文化は元気だし、これからも日本社会の下支えを担っているのだなと思った次第。

都築さんのトークが終了し、ハーレム(ステージ)側が開放される。いつもとは違い、DJブースからはラウンジ系な音楽が流れていて、とてもいい雰囲気。


特設ステージ。下は木でしっかり作られていた。


『地獄の黙示録』をモチーフにしているのだろうか?


“酒池肉林”という字面のイメージを表現するならば、こうなるだろう。


「ハーレム」とは。


ハーレムに見惚れていたら、ぼちぼちライブ開始の時間。

トップバッターは、渚ようこ。はじめて聴くが、クレイジー・ケン・バンドの横山剣プロデュースなどで、その名前は知っていた。生演奏ではなく、ダンサーを従えてオケによる歌というスタイルが、平成だけど昭和の香りがつよくてたまらない。おそらくオリジナル楽曲なんだろうが、昔の映画で聴いたことあるような気持ちになってくるのが心地いい。途中、渚ようこが抜け、ステージにあがった長身の女性、いや男性。宝塚の男役といった出で立ちでビシッとキメた白いスーツで歌いながら、寸劇を経て、ドレス姿になったかと思えば、最終的にはサンバのカーニバル衣装になって、これには持って行かれた。エルナ・フェラガ〜モという方だそうだ。
ふたたび、渚ようこさんの歌に戻り〆。ダンサーのデリシャススウィートスのインパクトもあって、トップバッターとして完全に盛り上がっていた。

つづいて、マエケンこと前野健太の登場。
いつもの感じでクスっと笑わせる独特の間が楽しい。ハーレムの人形を弄ったり、嬉野の旅館「大村屋」のカスタネット使いヘネシー吉川さんとコラボしたり、今回のイベントの主催者フジトミタクミさんに「ねえ、タクシー」の頭の部分を歌わせたり。人形を抱きながら演奏しようとしたり。とはいえ、演奏も圧倒的な存在感で引き込ませるのがマエケン。今回の「ファックミー」も胸に迫るものがあったが、後半エフェクターで反響させてマイブラみたいに混沌としたノイズ音が、ハーレムというこれまた混沌とした世界の音をかき鳴らしているようだった。
Facebookにアップされていた写真だが、最高にかっこいいよマエケン。


ライブのトリを飾るのは、倉地久美夫。もっとも前知識のないアーティストだが、先ほどの都築さんの紹介により、嬉野観光秘宝館でのライブのトリを飾るのに相応しい物語を感じる。独特の風貌から、フラメンコのようにギターをつま弾かせながら発せられるテノールボイス、それに現代詩のような特異な歌詞。これがなかなか強烈で引きこませる。
本人のMCも、ボイスレッスンに通っている話をして、「君ももっと人に受ける曲を歌ったらどうかね?」と、声色を変えて先生を演じてみせたかと思うと、その曲が小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」をはじめだしたり、楽譜をマイクにズボッと挿して譜面台にしたり、かと思うと、略歴を見ると菊地成孔とアルバム作っていたりと、奇才とはこういう方を言うんだろうなぁ。この未知な感じがとても面白かった。
墓参りよりもこの嬉野観光秘宝館に寄っていたというから、トリを飾り、天国でお父さんの樺山久夫先生も喜んでいることだろう。

ライブ終演後は秘宝の数々のオークション。


燃えよマラゴンや、“性技の使者”スーハーマンなどの大きめよりも逸物の形をした順路などの持ち帰りやすい物の方が値がついていた。


樺山久夫先生の絵も人気を博していました。揃いで買う強者も。


オークションの最中、今日はハーレムしか観れていないので、まだ残っている秘宝の数々とお別れを告げるために展示スペースへ。

長崎県民のはしくれとしては、“エロチック・ファンタジー ながさき オチンチ祭り”はやはり感慨深いものがある。


都築さんも話されていたが、このフォントが素晴らしい。ステッカーにしたいぐらいだ。


秘宝の一部はすでに撤去されていて、もぬけの殻だったが、こういう状態を観るのも最初で最後だろうからと、パシャリ。



もうほとんど勃たな動かなくなった“性技の使者”スーハーマン。


なんの捻りもなく、ただの“モンロー”。アナログな作りなので、通風口から巻き上げられたスカートの中身をちゃんと拝みました。


“燃えよマラゴン”のヌンチャクはフォルムも最高!


人気の有明夫人は、オークションにもかけられず非売品扱い。


「有明の恋人」はカニさんがすでに動かず、タオルをどけてくれない…。


あまりにも見事な“喜心金精神様”こちらもすでに非売品扱い。どこかで祀られることにでもなるのだろうか。


こちらはバッヂにもなっている、タイポグラフィとしても素晴らしい“飛び出す万珍”。ホログラムを駆使した立体的な秘宝だが、こちらの効果音が素晴らしい。なんでこんな音になるのかわからないけど。



嬉野名物茶摘み娘(ウソ)。このアングルだと普通にマジな盗撮みたいだが…。


もう一つの穴から覗けば…ビャー!と引っ掛けられる。のだが、こちらもすでに運転終了…。


すでにオークション用に撤去されてたり、動かなかいものばかりだったが、それでも最後にこうして秘宝の数々を直に観れて良かった。


オークションに戻ったら、最後に嬉野観光秘宝館のオーナーの挨拶があった。
この嬉野の片田舎(斜向かいにあるのはモーテルタイプのラブホぐらい!)で、30年間もよくぞ持ちこたえてくださったと感謝の念しかない。ただひっそりと閉じる秘宝館の中でも、こうしてイベントという形で盛大に見送ってもらえた嬉野観光秘宝館はとても幸せだったように思う。このイベントを企画してくださった秘宝館フェス実行委員会の方々にも感謝の気持ちでいっぱい。本当に素晴らしい秘宝館のお葬式でした。合掌。


2014年4月19日土曜日

イベントをほぼ一週間後に控え、覆い茂っている駐車場の雑草をどうにかしなければならない。購入していたが操作方法を忘れて放置状態にあった草刈機を農作業もする不動産屋さんに教えてもらう。

慣れればなんてことはないのだが、忘れた時の自分のためにメモ代わりに。
レバーの部分を運転に入れ、空気を通すところ(?)を固くなるまで数回プッシュし、エンジンがかかるまで数回引いてかかったら、エンジンのつまみを運転にすれば完了。
あと、靴がかなり汚れるので気をつける。

跳ねる小石などを防ぐためにエプロンとプラスチックのヘッドギアを装着して作業するのだが、草刈機を握りしめている状態も相まって、自分自身が草刈マシンになった気分になってくるから楽しい。

2014年4月18日金曜日

日曜に、いよいよグランドフィナーレを迎える嬉野観光秘宝館への出演をからめて「都築響一さん再び」と題するトークイベントが福岡は大名にある「松楠居」で行われるのを数日前に都築さんのFacebookで知り、慌てて申し込んでみたら、オーナーのSさんがメールにも関わらず、僕のことを覚えていてくださっていたのがとても嬉しかった。一昨年に同じく都築さんのイベントで一回行っただけなのに。

夕方に福岡に着き、少し時間があったので、久々にタワレコでお買い物をする。

  • Tokyo Zawinul Bach/Change Gravity (菊地成孔の盟友、坪口昌恭のグループ。限定特典DVD-R付き)
  • Yannis Rianta/City Whispers (Rhyeに通ずるとされるカナダのアーティスト。タワレコ限定流通)
  • 柳樂光隆/Jazz The New Chapter~ロバート・グラスパーから広がるジャズの地平線 (タワレコ限定ボーナスディスクガイドつき)

気がつけば、特典とか限定流通にすごく弱い自分がいる。5千円以上買うとポイント8倍で実質500円引きだったりするから、前よりも還元率の高さを実感。生き残るためにも大変なんだろうな。

休憩に天神VIOROのスタバへ。対角線上の岩田屋にもスタバがあるのになぜ?と思ったら、スターバックス リザーブという限られた店舗で販売しているコーヒーが味わえるのだそうな。珍しさにつられて注文。一見、スタバならではのローストの濃いコーヒーだが、後味がすっきりとしているところが大きく違った。

ちょうどいい時間になったので「松楠居」に向かう。


今回も玄関はSさんの服による『着倒れ方丈記』状態。


一番前を陣取り、都築響一さんのお姿を発見し、ワクワクしてくる。客入れBGMが歌謡曲調のパンチのある「Sweet Memories」や「いとしのエリー」、「クリスマス・イブ」と素晴らしいので思わずShazamしたら、弘田三枝子『弘田三枝子・じゃずこれくしょん』がひっかかる。もともとBOXが廃盤になって、エラい値段がついているがiTunesにもあるようだ。

まずは京都近代美術館でファッションをテーマにした展覧会で『着倒れ方丈記』も展示されているという。京都近代美術館には、溝口健二の『雨月物語』にも関わっている甲斐庄楠音の作品もあり、なんでも女装するカマ爺さんだったそうで、まず裸を描いてその上に着物を描くという変態チックな作風だったそうだ。噂ではトラック運転手の腕に抱かれて死んだという素晴らしいエピソードもあるとか。
『着倒れ方丈記』の話へ。有名ブランドに取り憑かれ、着倒れる人々の因果な話。風呂なしの六畳二間に住んでいるエルメス好きの男性が、50万もするエルメスの鞄のグリップを汗で汚さないようにタオルのようなものを巻きつてるとか、壮絶な話にやられる。傍から見るとバランスを欠いているけれども、突き抜けているところに清々しさすら覚える。

『着倒れ方丈記』を今の時代に作るのは難しいとも都築さんは語る。ブランドがブランドとしての価値が弱くなった時代、トレンドというのがなくなった時代に突入して、いまは面白い時代に突入しているというのになるほどと頷く。

最新著作である『独居老人スタイル』のお話へ。閉館して50年になる福島県の本宮映画劇場の二代目館主が定年後に自分の映画館をつくろうと、フィルムやポスターを買っていたという。そこで終われば、日本版『ニュー・シネマ・パラダイス』の世界と思いきや、その方が実は成人映画が大好きで、フィルムセンターにも収蔵されていないような作品をコレクションしている上に、フィルムを切り刻んで自分好みに編集して鑑賞していたという。ぜんぜんロマンチックじゃないけど、『ニュー・シネマ・パラダイス』のクライマックスを彷彿とさせる。ポスターのコレクションも見事で、無名で発掘されることもないようなピンク映画のポスターを次々と見せられる。フォトショップでは作れないようなデザイナーといった人間ではなく街の印刷屋がつくったフォントの味わいや構図。アナログな時代ならではの味わいの数々がたまらない。

浅草の写真を撮り続ける鬼海弘雄さんの作品の紹介。いつも違う服を着て立っていたという、チェリーさんという有名な売春婦。映画にもなったヨコハマメリーさんと被るイメージだ。去年亡くなったそうで、いつも立っていた場所に誰が置いたか知らないが、花とヤクルトが添えてあったといういい話。だが、そのヤクルトが飲まれてしまうというオチつき。

山谷のドヤ街のおじさんと仲良くなって、半ば公式写真家となっている多田裕美子さんの話。まだ写真集という形にはなってないそうだが、山谷の親父たちの顔つきが何ともたまらない。いつか出るであろう写真集が楽しみ。

青森のボロ布文化について編んだ、『BORO』の話。もっとも貧しかったという青森の貧農の労働着のことで、一生に上下2着持っていればいいほうで、青森は木綿が採れず、絹か麻しかない。絹は高価なので無理。となると、麻しかない。麻を寒い青森の地でどうしたかというと、ミルフィーユ状に重ねていった。デザインを意識しないで、何十年もつぎはぎで40年50年も経た、BOROはキルトの作品といっても過言ではない圧倒される。BOROの存在を広めた民俗学者、田中忠三郎さんの話もとても興味深い。

衝撃を受けたのが、仙台あたりに僅かに現存するバンカラの話。決して、どおくまんなどのマンガだけの世界ではなく、21世紀に入り、このテン年代にも残っているとは…感動的ですらある。まだまだ知られていないことだらけなのだな。何代も前の先輩の服を受継ぎ、着ている生徒の顔はどこか引き締まって見える。

最後に、「JUN ROPE」のCMの動画で〆。「JUN ROPE」がどんなブランドか知らなかったが、CMはまるで洋画のような雰囲気のある味わいで、これが当時、深夜放送とかで流れていたかと思うと、昔の方がある意味、すごくリッチな感じがしてしまう。



そのまま懇親会となり、酒を飲み交わしたい気持ちをぐっと堪え(車で来たので)、持参した都築さんの本にサインをもらったりしているうちに、他の人とも仲良くなるこのアットホームな雰囲気がたまらない。

お開きとなったが、Sさんのお言葉にそのまま甘えて、打ち上げという名の食事会に参加させてもらう。ホルモンをつまみながら、さながらオフ会という感じでとても楽しかった。
遊園地のアトラクションではない、お化け屋敷といった見世物小屋的な出見世がならぶという、箱崎のお祭り「放生会」は今年、是が非でも行かねばなるまい!なぜか話題にのぼった牧のうどんの天ぷらバージョンとも言えそうな、チェーン店「天ぷら ひらお」にとても興味がわいた。ラーメン屋で言うところの紅しょうがというおかわり自由なポジションになぜか塩辛という感じとか。都築さんに紹介できる案件はないかとこちらも佐世保の24時間営業の「みぞぐち」の話をしたら、興味を示してもらった。いろんなアンテナを張り巡らせて生活せねばと実感。

お開きとなった時間がすでに夜中にもかかわらず、興奮は覚めやらぬままハイテンションのまま佐世保へと帰路についたのだった。

改めて都築さんは最も尊敬する書き手の人だなと再認識。もっと精進せねば…(何を!?)。

2014年4月17日木曜日


柳樂光隆さんの初の著書『Jazz The New Chapter~ロバート・グラスパーから広がる現代ジャズの地平』の増刷記念(?)で大谷能生さんらと出演したDOMMUNEを観る。知っている人がDOMMUNEに出るまでになるとは感慨深いというか不思議なものだなぁ。
ジャズという、うるさ型の年配者がひしめくイメージの強い業界の中において、ヒップホップや音響系、エレクトロといった同時代の音楽を通過した僕達の世代にも響いてくるジャズがあるんだよということを紹介している、もっと言えば日本のジャズ界の世代交代を図ろうという試みのように思う。
紹介している音楽を参考に新しいジャズの世界を堪能したいと思う。

それにしても、最近のジャズはPVもあるんですなぁ。

2014年4月16日水曜日



最も敬愛するラジオ番組、TBSラジオ『菊地成孔の粋な夜電波』でスピンされたエルメート・パスコアルのソロデビュー・アルバム『エルメート』(CD化の際に『ブラジリアン・アドベンチャー』と改題)を発見。CDなりアナログなりの盤で欲しいがとても高いのでネットで我慢。
それにしても、難解でさえあるエルメート・パスコアルがこんなに聴きやすいとは思わなかった。Wikipediaによると、アイアート・モレイラの手引でマイルス・デイヴィスの『Live-Evil』のレコーディングに参加し、2つの楽曲を提供したそうで、このアルバムに収録された楽曲はマイルスが録音したかったそうだが、諸事情で流れたのか、或いは変人っぷりで仲違いしたのか、アイアート・モレイラとフローラ・プリンのプロデュースでアメリカでリリースという形になったようだ。CDの入手困難っぷりからすると定番という位置には至ってないのかな。レコーディングには参加してないがマイルス絡みとして、もっと再評価されるべきアルバムではないだろうか。

2014年4月15日火曜日

BS11の『ふらり旅 いい酒いい肴』を観る。見逃していた初回の再放送。気がつけば、この番組も丸一年になるのか。
第一回は岡山県倉敷市。「民芸茶屋 新粋」大衆的すぎない、清潔感のある格調高くすらある良い感じの内装。料理ももちろんとても美味しそう。
続いて訪れた、「鬼の厨 しんすけ」。なかなかインパクトのある店名と禿頭のご主人。透き通るようなシャコの刺し身を「哲学のような味」と表現する太田和彦さん。

今日は満月でとても明るく、ものすごく静かな夜。ベランダでリモンチェッロを呑みながら春の夜を楽しむ。それにしても、数日前にあれほど賑やかだった盛りのついた猫はどこに行ったのだろう。

2014年4月14日月曜日

“ブログを再開するときは毎日更新する”という、自分の中にルールを課しているのだが、元来の怠け癖が出てしまい、余裕がある日に一気数日分を更新することになってしまう。今回はまだどうにか追いついたが、これ以上溜め込んでいたら、そのまま日の目を見ることもなく忘却の彼方に消えていただろう。ということで、ブログの更新に頑張った日という記録をここに残しておく。

某レコード店店主の方から注文があったが、すぐさま、間違ったのでキャンセルしてくださいとの連絡があった。その方が選曲したCDとはいえ、こういうのもチェックしているのだなと思った。

2014年4月13日日曜日

前日に急遽決定した、そば会だが、LINEのメールで来れなくなった人もあり、来れる人もありで、最終的には僕の車におさまる人数になったので、一台で行くことにする。
人数が確定していなかったので、当日になり、そば屋だとここと決めている西有田の「古式蕎麦 大和」に電話するも、お昼は予約でいっぱいだというメッセージが…。やはり、昨日「蔦屋書店」で見かけた「ながさきプレス」の表紙と巻頭を飾ってしまった影響が大きいのだろうか。
このままのながれでどうしようか思っていたら、Sさんが武雄に大好きなお店があるのでそこに行きませんかと提案してもらう。とにかく旨いとしか表現しないので、相当旨いんだろうなと期待して、予約してもらい、そば会からカレー会へと急遽変更。


辿り着いたその場所はひっそりとしていて、営業中なのに“準備中”のプレートを掲げたまま…なんでも、前にあったお店と勘違いして入ってくるお客さんがいるからだというらしいが…。美味しいカレー屋の店主は変人という説を唱える友人の説に思わず頷いてしまう。


で、そのカレー屋というか、カレーではあるが、カレーにとらわれていない、インド料理といってもいい、混ぜて食べるというスタイルで、だんだん味を変えていくのが楽しい。後から今日不参加だった方に訊くと、南インドのミールスのスタイルだという。

とにかく、このチョイスしたキーマカレーが驚くほど旨くて、みんな旨い旨いと黙々と平らげてしまった。こんな場所にこんな旨いインド料理を食べれるなんて、ちょっと物語でも見ているような空間だった。案内してくれた方があまり広まってほしくないというので名前は控えるが、写真をヒントに行かれてみてはいかがでしょうか。

途中、波佐見焼の「マルヒロ」に立ち寄り、焼き物や生活雑貨を眺めて欲しくもなるが、いかんせん実家暮らしで、すでに沢山の食器などに囲まれている自分にとっては、どうしても食指が伸ばせない。そんなことを思っていると、大人買いをしていMさんの様子が羨ましくもある。(大人買いっていうか普通に買い物してるだけなんだけどね)

さらにみ三川内に立ち寄り、「miXer」さんの移転先を眺めたり、アヒルちゃんやヤギさんと戯れたりする。



※動物園ではありません。

ちょっと寄り道し過ぎたので、後から合流するYさんとの待ち合わせに遅れてしまうので長崎自動車道に乗り、一路、佐々へ。

「三花嶺」で、皆さんに万華鏡を見せて、それぞれのリアクションが面白い。
万華鏡の前ではみんな童心に帰るのだ。


あおぞら食堂」でコーヒーブレイク。ほどよい疲労感で眠気がじわじわと襲ってくる。

佐世保市内に戻り、五番街の「KALDI」に「無印良品」で買い物をして、本日はお開きとなった。

帰りの運転中に流れていた、星野源の「生まれ変わり」が楽しかった、そば会改め、カレー会改め、大人の遠足のエンディングテーマという感じでとても沁みた。