2014年6月20日金曜日

いまやネットで飲食店を探すのに欠かせない存在となっている、食べログ。
食べログへの賛否はよく聞くし、「何でもかんでも食べログの検索に頼るな、自分の嗅覚を大事にしろ」と都築響一さんが仰るのもよく理解できる。入ったことはないけどまずい店には入りたくないという、それは誰しもが思うことではあるが、たまたま入った店がとんでもなくまずい店だったり、変な主人だったり、すごい作りの店内だったりするという驚きの体験とは出会えないかもしれない。そういう負の体験は案外忘れないもので、頭の隅っこにこびり付いたりするものだ。食べログではそんな濃い体験とは縁遠い、一種のリスク回避に過ぎないのかもしれない。実際に佐世保にあるカレー屋は食べログのレビューに心を痛めている事例も知っている(この店が取った対策は撮影禁止)。
とはいえ、よく知らない地方へ行くときなどやはり便利なのは事実であるし、変なお店には入りたくない。我々の時間は限られている。時は金なり。タイム・イズ・マネー。という気持ちもよく分かる。
そんな食べログの指標とも言うべき、レビュー。そこには素朴な感想から、グルマンによる薀蓄交じりの批評もあるのだろう。そんな中にある種の“奇形”とでも言うべき、あふれだす自意識が止まらないレビューもとい“作品”の数々が、この素晴らしい形でまとめられている。

これが「食べログ文学」--“レビュー”という名の極上ポエムと私小説を堪能せよ

よくぞ、星の数ほどあるレビューから、これだけ純度の高い作品を発掘したという感じである。引き続き選考委員会の方には作品の発掘作業が進むことを期待したい。

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