昨日より疲労感が残っていたためか、逆によく寝れた。
朝からやっている「パン屋航路」で出来立てのパンを頬張りながら、朝の取引をしている八百屋や魚屋の様子は、昼や夜とはまた違う尾道らしい風景である。アーケードにはスタバやドトールではない、独自の展開をしている「尾道浪漫珈琲」というサイフォンで淹れたコーヒーが飲める喫茶店もある。
コンビニやドラッグストアといった大手チェーンが入り込んでいないのか、意図して入れていないのかは分からないが、「パン屋航路」や「Classico」、「あなごのねどこ」をはじめとした「尾道空き家再生プロジェクト」といった、新しい潮流で確かに変わりつつあるのを感じる。
まだまだ前の世代が大きな顔をして、世代交代がうまく行かない街とは大きな隔たりがあるなと痛感する。経済力が違うとはいえ、文化的に新しいことを試みる人が増えてきている街とはいずれ差ができるような気がしてならない。もちろん、無い物ねだりでブツブツ文句ばかり言っていても仕方ないので、どうにか面白いことを巻き起こしていければなと強く思った。
「あなごのねどこ」をチェックアウト。昨日、酒を交わした方々とお別れをする。たった一晩のほんの数時間しか顔を合わせていないけど、なんだかすっかり打ち解け合った気になるのが旅の醍醐味であり、ここ「あなごのねどこ」に集う人の良さなのかもしれない。
パンで軽くごはんは食べた気でいたのだけど、泊まり客から聞いた尾道ラーメンと呼ばれる以前から有名な「朱華園」の、焼きそばが美味しいという話を小耳に挟む。天候もあまり良くないので、歩いて観光という気分でもないし、後はぼちぼち帰るぐらいしか予定を立てていなかった我々は、急遽、「朱華園」に行くことにした。
これが噂の焼きそば。敢えて焼きそばを頼むというのもチャレンジではある。
いわゆるソース焼きそばとは異なる、オーソドックスな焼きそば。たしかにこれは旨い。
とはいえ、ここに来てラーメンを頼まないのは、やはり勿体ないということで、ラーメンもしっかり頼む。ちなみにこのお店では、ラーメンではなく中華そばと表記するのが正しい。この醤油の濃い味がたまらない。こうしてタイピングしている今、この瞬間、ヨダレを口に溜めながら、食べたくて食べたくて仕方がない。
駐車場の近くにあって、ジーンズをずらりと並べているディスプレイがインパクトがあった「ONOMICHI DENIM SHOP」に恐る恐る入ってみる。感じのいい店員さんというか任されている方の話をいろいろと伺う。これは尾道デニムプロジェクトの一環として開いたお店で、隣の岡山県はジーンズなど紡績工場で有名だが、実はここ尾道も紡績産業が盛んな土地ということで、デニムをPRしていきたいのだという。コンセプトとして、一年間、地元の様々な人に着せて着古した風合いを味わってほしいのだという。
さらに、その母体は、「ディスカバーリンクせとうち」という、「尾道空き家再生プロジェクト」とはまた異なる、尾道に根ざし、新しい風を起こそうとしている企業だという。山師が大手を振って、それに食いつこうとする人たちからは、どう逆立ちしたって出せないこのセンス。おっと、また悪口を言ってしまったが、そんな毒を吐きたくなるほど、この尾道が羨ましくて仕方ないのは正直なところ。
港沿いを走っていたら目についた、この倉庫をリノベーションした商業施設が、先ほどのお店の方が話してくれた「ONOMICHI U2」。
サイクリストの聖地と化しつつある「しまなみ海道」を有する尾道にオープンしたばかりだという。サイクリスト用にサイクリングショップもあれば、カフェにレストラン、バー、そして何と、サイクリスト用のホテルまで完備している。自転車をまともに乗れない身分ではあるけれど、それでもこの「ONOMICHI U2」はとても光り輝いて映る。
いま地方に注目を浴びつつあるように感じる一方、その注目を集める地方そのものの魅力の差があるように感じられる。自分の住んでいるところをなかなか複眼的に見れなかったりするが、こうして旅行して、その土地がものすごく魅力的に映るのはとても刺激を受ける反面、悔しく歯がゆい思いも一方である。この刺激をうまく地元に還元できればいいのだけど、なかなか自分の非力も痛感もするわけで…。何だか愚痴っぽい〆になってしまったが、この二泊三日は刺激だらけで、広島・尾道の魅力をさらに探求できた素晴らしい旅になった。また行くぞ!
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